虫歯について
虫歯とは
ミュータンス菌などのむし歯(虫歯)原因菌が出す酸によって、歯のカルシウムが溶かされ、歯がもろくなり、ついには穴が開いてしまう病気のことです。むし歯(虫歯)は歯周病と同じように、重症になるまでは自覚症状が少ないため自分では気づきにくいことが特徴です。しかし、歯に穴が開く前に定期健診などで発見できれば、元の状態に戻すことができます。
虫歯の原因
むし歯(虫歯)は、様々な要因が重なって発生します。その要因のうち大きく関わっているのが、糖質(ショ糖)、原因菌(ミュータンス菌)、歯質(エナメル質・象牙質)、時間です。もともと持って生まれた歯の強さは人それぞれです。歯質の弱い方が菌の多い口腔内に糖質を多く含む飲食物を長時間入れているとすぐ虫歯になる、という事になってしまいます。
当院の虫歯治療の特徴
痛みに配慮した虫歯治療
痛いのが好きな方はいらっしゃらないと思いますが、麻酔をする事で安心する方もいらっしゃれば、麻酔が何時間も効いている方が不快な方もいらっしゃいます。処置の程度や痛みの可能性をお話しした上でどうするのが最善かご相談して進めてまいります。麻酔をする場合には必ずその部分に表面麻酔の塗り薬を塗り、麻酔刺入時の痛みの軽減を行います。麻酔は電動の麻酔器(薬の注入速度を一定にする事で痛みを和らげます。)と人肌に温めた麻酔薬(体温と同じ事で注入時の違和感を軽減します。)、極細の麻酔針を使用します。
笑気麻酔
必要性を判断した場合、笑気麻酔を用いた鎮静療法も受けていただけます。大人はもちろん子供まで歯科治療に対して不安やストレスを大きく感じてしまう患者さまに、リラックスして治療を受けていただくための方法です。
血管から薬剤を入れるのではなくただ鼻から吸うだけで鎮静状態が得られ、治療後は30分以内に肺などから体外に排泄されてしまいます。副作用が非常に少なく苦痛を緩和してくれる鎮静方法です。 酸素が70%以上(空気中は20%)も含まれるため体の中の酸素量を効果的に摂取できるので心肺系に対しての負担が減少します。
虫歯治療について
虫歯の段階(CO~C4)により
治療法が異なります。
CO(シーオー):初期むし歯
「CO」の読み方は、C0(シーゼロ)ではなく、「要観察歯」を表す英語の(Questionable Caries under Observation) の頭文字を取った「CO(シーオー)」が正しい読み方となります。この段階で治療を開始することが理想的ですが、自分では気づけないことが多いので、日頃から定期的に歯科医院で、歯の状態をチェックしてもらっていると安心です。
歯の状態
歯の表面からカルシウムなどが、少し溶け始めた(脱灰した)面がある状態
自覚症状
- 痛みはない
- 歯が白っぽく濁る
治療方法
- 歯科医院で口腔内をクリーニングし、細菌量を減らした上でフッ素を塗る
- フッ素入り歯磨き粉で丁寧に歯を磨く(セルフケア)
C1:エナメル質内の虫歯
痛みがなく治療することができ、歯を削ることも最小限で済むことが多いので、この段階で治療を受けることが望ましいです。
歯の状態
細菌により、エナメル質が溶け始めた状態
自覚症状
- 痛みはない
- 灰色や薄茶色の穴・溝ができる
治療方法
- 虫歯を削って、詰め物をする
- またはフッ素塗布により経過観察
【保険治療】コンポジットレジン修復(詰め物)
虫歯部分を削り、白いプラスチック(レジン:合成樹脂)の詰め物を詰めます。見た目のこだわりよりも、生活上問題なく噛めることを重視しています。
メリット | 安価 |
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デメリット | 経年劣化で変色や詰め物の境に色が付くことがある |
治療回数 | 1回 |
費用相場 | 1,500~2,000円/1本 |
C2:象牙質に達した虫歯
痛みを感じ始め、虫歯と気づく方も増えてきます。エナメル質より柔らかいので、C2から先の虫歯への進行は一気に加速します。
歯の状態
エナメル質よりも内側の象牙質にまで、虫歯が進行した状態
自覚症状
- 痛みを感じる
- 虫歯の部分が黒くなる(穴が開く)
- 冷たいものや甘いものがしみる
- 口臭が出る
治療方法
虫歯部分を削り、詰め物(レジン修復・インレー修復)や被せ物(クラウン)をする
【保険治療】コンポジットレジン修復(詰め物)
パテで穴を埋めるようなイメージで、白いプラスチック(レジン:合成樹脂)の詰め物を詰めます。奥歯の隣接面を含む虫歯や大きい虫歯には対応できない事が多いです。
メリット | ・安価 ・見た目のこだわりよりも、生活上噛めることを重視 |
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デメリット | ・経年劣化による変色や詰め物の境が着色することがある |
治療回数 | 1回 |
費用相場 | 1,500~2,000円/1本 |
【保険治療】メタルインレー(詰め物)、メタルクラウン(被せ物)修復
隣接面を含む奥歯や大きな虫歯が対象です。金銀パラジウム合金で詰め物やかぶせ物をします。
メリット | ・安価 ・見た目のこだわりよりも、生活上噛めることを重視 |
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デメリット | ・素材には非金属の銀も含まれているので、長期的な使用においては酸化・腐食・さびやすい ・金属アレルギーのリスクがある ・歯ぐきに沈着し、黒く変色することがある ・銀色で目立つ ・二次虫歯(銀歯の内部で虫歯になっている)のリスクが高い |
治療回数 | 2回 |
費用相場 | 2,000円/1本 |
【自費治療】セラミック・ジルコニア修復(詰め物)
詰め物・被せ物の素材には、陶器のような材質の「セラミック」や別名、人工ダイヤモンドとも呼ばれる「ジルコニア」を使用します。見た目の良さ(審美性)はセラミック>ジルコニア、硬さはジルコニア>セラミックです。ただし、歯ぎしり・食いしばりの癖がある方には、不向きです。
メリット | ・歯との適合精度が高い ・接着剤の劣化が少ない ・虫歯・歯周病リスクを下げることが可能なので、再治療を少なくできる ・金属アレルギーの心配がない ・見た目が天然歯のように美しい |
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デメリット | ・セラミックは、硬いが衝撃に弱いので強く噛む力が加わると割れる事がある ・ジルコニアは、エナメル質の約4倍もの硬度があるため、噛み合う反対側の歯(天然歯)が削れやすい ※マウスピースを付けることで、歯への負担を軽減できることもあります。 |
治療回数 | 2〜3回 |
費用相場 | インレー(詰め物)50,000円~80,000円/1本 クラウン(被せ物)80,,000円~120,,000円/1本 |
C3:歯髄(神経)に達した虫歯
大きく穴が開き、激しい痛みを伴うため、ほとんどの人が虫歯ができたと気づきます。この段階まで進行すると、詰め物・被せ物をする前に「根管(こんかん)治療」が必要となります。歯医者さんによっては根管治療のことを「神経を取る治療」「根っこの治療」という呼び方をする場合もあります。
歯の状態
虫歯が象牙質を超えて、神経まで到達した状態
自覚症状
- 冷たいもの・温かいものが酷くしみる
- 大きな穴が開いたり、大きく欠けたりする
- 何もしなくてもズキズキと痛む
- 強い口臭が出る
治療方法
歯の神経を取り、根の中を消毒(根管治療)した上で、土台を作り、被せ物をする
【保険治療】根管治療+土台作成(レジン・メタル)+被せ物(レジン・メタル)
土台(コア)および被せ物の素材には、メタルもしくはレジン(プラスチック)を使用します。ただし、レジンは強度に問題があるため、負荷のかかる奥歯や深い虫歯がある部分には、原則使用できません。
メリット | ・安価 ・(レジンの場合)見た目が良く、金属アレルギーの心配がない |
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デメリット | ・経年劣化による二次虫歯・歯周病リスクが高い(根管の再治療リスクが高い) ・(メタルの場合)金属アレルギーのリスクがある ・(レジンクラウンの場合)経年劣化によって変色することがある ・(メタルクラウンの場合)銀色で目立ち、金属の溶け出しによる歯ぐきの黒ずみがみられることがある |
治療回数 | 前歯など1根管の場合:5回〜症状に応じて(根管治療2回〜+土台作成・被せ物調整3〜4回) 奥歯など複数根管で形態も複雑な場合:7回〜症状に応じて(根管治療4回〜+土台作成・被せ物調整3〜4回) |
費用相場 | 約1,000円~3,000円/一回の根の治療 ※被せ物などの諸費用は別途必要です。 |
【自費治療】精密根管治療+土台作成(ファイバーポストコア)+被せ物(セラミック・ジルコニア)
精密根管治療では、歯科用の顕微鏡である「マイクロスコープ」や、細菌が多く含まれる唾液などが治療する歯に入らないよう防ぐ、薄いゴム製のシート「ラバーダム」などを用いた治療を行います。また、土台はファイバーポストコアが選択され、グラスファイバー(繊維強化プラスチック)素材を使用しているので、天然歯の象牙質と同様、弾性に優れるため、歯の根の破損を予防することが可能です。
メリット | ・抜歯を回避することができる可能性がある ・根管の再感染リスクが低い |
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デメリット | ・特別な設備が必要となるため、実施している歯科医院は限られる。当院では精密根管治療をが必要な難しい症例は根管治療専門医へのご紹介が可能です。 ・根管治療、土台、被せ物すべて自費となるため、治療費が高額となる |
治療回数 | 5~7回(根管治療1~4回、土台作成・被せ物調整2~3回) |
費用相場 | 合計200,000円~ (精密根管治療80,000円~150,000円、土台10,000円、被せ物30,000~150,000円) ※使用する素材のほか、医療機関によって異なります。 |
C4:歯質が失われた虫歯
虫歯の最終段階で、C3同様の激しい痛みを感じます。また、虫歯菌によって神経が食い尽くされると、痛みを感じなくなることもあります。
歯の状態
歯冠(目に見える歯の部分)がほとんど失われ、根の部分だけ残っているか、いないかといった状態
自覚症状
- 冷たいもの・温かいものが酷くしみる
- 大きな穴が開いたり、大きく欠けたりする
- 何もしなくてもズキズキと痛む
- 以前、強い痛みがあったが、次第に痛みを感じなくなることもある(歯が死んでしまった状態)
- 強い口臭が出る
治療方法
・抜歯(歯を抜く)+歯の代替処置(ブリッジ・入れ歯・インプラント・歯牙移植・矯正治療など)
・歯を残せる場合:根管治療+被せ物(C3治療と同じ)
・エクストリュージョン(歯根挺出法)
【保険治療】抜歯+ブリッジ(硬化レジン・メタル)
欠損歯が1~2本の場合に適応となり、両端の歯を使って、橋渡しのように人工歯を作る治療です。人工歯の素材は、前歯・犬歯なら硬化レジン、奥歯ならメタルとなり、人工歯の寿命は約7年です。
メリット | ・安価 ・入れ歯のような違和感がない |
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デメリット | ・取り外しはできない ・欠損歯の支柱にするため、両サイドの健康な歯を削らなければならず、削ることでむし歯リスクが高くなる |
治療回数 | 3~5回(抜歯1回+ブリッジ2回~) ※歯の代替処置は、抜歯後1~2か月空ける必要があります。 |
費用相場 | 10,000円~30,000円/1本 |
【保険治療】抜歯+入れ歯(プラスチック樹脂の人工歯と義歯床、金属製の留め具)
抜けた歯の両サイドに健康な歯がない場合、多くの歯を失ってしまった場合、ブリッジ治療を行いたくない場合などに適応となります。保険治療の部分入れ歯は、アクリルレジン(プラスチック樹脂)の人工歯と歯ぐきに似た色の義歯床、金属製の留め具(クラスプ)から構成されます。
メリット | ・安価 ・ブリッジ治療をするための健康な歯を削らなくてよい |
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デメリット | ・強度を出すために厚めに作られる、義歯床に違和感を覚える場合がある ・金属の留め具が目立つ ・調整するにも限度がある |
治療回数 | 3~5回(抜歯1回+入れ歯2回~) ※歯の代替処置は、抜歯後1~2か月空ける必要があります。 |
費用相場 | 部分入れ歯:5,000円~15,000円 総入れ歯:約20,000~30,000円 |
【自費治療】抜歯+ブリッジ(セラミック・ジルコニア)
自費治療のブリッジでは、人工歯の素材がセラミックやジルコニアとなります。歯ぎしり・食いしばりの癖がある方には、不向きです。
メリット | ・天然歯に近く、透明感がある ・自分の歯と同じように噛むことができる ・変色しづらい |
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デメリット | ・欠損歯の支柱にするため、両サイドの健康な歯を削らなければならず、削ることでむし歯リスクが高くなる ・治療費が高額となる |
治療回数 | 3~5回(抜歯1回+ブリッジ2回~) ※歯の代替処置は、抜歯後1~2か月空ける必要があります。 |
費用相場 | 50,000円~250,000円/1本 ※医療機関によって異なります。 |
【自費治療】抜歯+入れ歯
自費治療の入れ歯は、厚みの調節が可能な金属製の義歯床を選択することができます。
メリット | ・薄く、外れにくく、装着時に違和感の少ない入れ歯が作製可能 ・留め具がなく、一見入れ歯だと分からない「ノンクラスプデンチャー」も選択可能 ・患者さんに合った細かい噛み合わせの調整ができる |
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デメリット | ・入れ歯作製に時間がかかる ・治療費が高額となる |
治療回数 | 3~5回(抜歯1回+入れ歯2回~) |
費用相場 | 部分入れ歯:100,000円~500,000円 総入れ歯:100,000円~1,000,000円 ※医療機関によって異なります。 |
【自費治療】抜歯+インプラント
外科手術で人工の歯の根(人工歯根)を植えます。1本~無歯顎まで対応可能です。
メリット | ・ぐらつきや外れる心配はなく、天然歯のようにしっかり噛むことが可能 ・ブリッジのように、隣の健康な歯を削る必要はない |
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デメリット | ・事前検査や定期的なメンテナンスなど、通院回数が多い ・治療費が高額となる |
治療回数 | 7回~(抜歯1回+インプラント6回~) |
費用相場 | 300,000円~500,000円/1本 ※医療機関によって異なります。 実績ある専門機関にご紹介いたします。 |
【自費治療】抜歯+歯牙移植
欠損部分に自分の歯を移植する方法です。移植する歯には、親知らずや過剰歯が使用されます。また、条件を満たせば、保険適用できる場合もあります。
メリット | ・自分の歯を使うので拒絶がなく、他の歯と同じようにしっかり噛める ・インプラントよりも歯周病リスクが少ない |
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デメリット | ・移植できる条件(同じようなサイズ・歯周病になっていない歯など)がある ・定着しないリスクもある ・実施できる医療機関が限られる |
治療回数 | 1回 |
費用相場 | 40,000円~100,000円 ※移植のみの費用 実績ある専門機関にご紹介いたします。 |
【自費治療】抜歯+矯正治療
場所や周囲の歯の状況によっては、矯正治療で欠損部分を補うことも可能です。治療回数および費用は、矯正治療の内容によって、異なります。
【エクストリュージョン(歯根挺出法)】
抜歯が必要なほどの歯ぐきの中まで進行した虫歯、もしくは破折した歯を引っ張り出す事でそ抜歯せずに土台を立てて被せる事が可能な症例もあります。